相賀 昇

2011年6月 1日 (水)

シリーズ「ドイツから直行便で」⑪原子力発電は現代のバベルの塔か」― 「フクシマ」とドイツの原子力政策をめぐって―  

ベルリンの復活祭デモ行進―「原子力?いえ結構です」の旗を掲げてさ

相賀 昇(あいが のぼる/日本基督教団 田園都筑教会牧師)

 東日本大震災による甚大な被害、さらに高濃度の放射線災害という同時複合災害の現実に直面し、この間私たちは絶えず神様に「なぜですか」と問い続けてきた。しかし福島第一原発事故に伴う一連の危機を見る限り、私たち自身に対する神様からの問い、つまりひとが築いてきた文明のあり方、その豊かさや繁栄の本質は何かという問いの前に立たされていることもまた確かであろう。創世記にはバビロニア人が「天まで届く塔のある町を建て、有名になろう」(11:4)とした「バベルの塔の物語」がある。彼らは人間の能力で自然・環境を意のままにして神の高みにまで到達しようと、つまり「傲慢」になった。しかし主なる神の介入によってバビロニア人が「この町の建設をやめた」という結末、遂にはバビロニアの覇権主義が頓挫したことを告げている。現在の福島第一原発のトラブルを見るとき、あの創世記の物語ははるか遠い昔のことではなく、専門家の想定外の事態に陥って暴走しコントロール不能となり、その残骸をさらしている有様はまさに21世紀のバベルの塔ではないだろうか。そしてそのような人災を招いた原因こそ、不倒神話や安全神話を作り上げそこに安住してきた人間の傲慢ではなかったか。

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2010年12月 1日 (水)

「21世紀の大宣教命令とは」~一方通行から対話による相互通行の宣教論~

相賀 昇(あいが のぼる/日本基督教団田園都筑教会牧師))

 今から10年前、「ベルリン・ブランデンブルク・オーバーラウジィツ福音主義領邦教会」(EKBBO) の教会本部は、19世紀に遡る宣教本部のあった場所に移転。かつての建物もすっかりモダンに増改築された。ただ一部ゴシック様式の切妻壁が歴史保存され、そこに刻印された「行ってすべての異邦人に教え、父と子と聖霊の名によって彼らに洗礼を授けよ」という大宣教命令だけが往事を偲ばせていた。19世紀、宣教とはヨーロッパから他の地域へと出て行き、非キリスト教徒である異邦人を改宗させる、いわば一方通行の宣教だったわけである。

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シリーズ「ドイツから直行便で」⑩「諸宗教間対話の基盤と平和への責任ある参与」 ― B・クラッパート教授の来日講演から―  諸宗教間対話の基盤と平和への責任ある参与」 ― B・クラッパート教授の来日講演から―  

相賀 昇(あいが のぼる/日本基督教団 田園都筑教会牧師)

 去る9月22日(木)、ドイツからB・クラッパート教授を迎えて「第2回市民公開文化講演会」が開かれた。テーマは「現代世界の平和構築のための諸宗教間対話~21世紀の『文明の衝突』をめぐって」という焦眉の問題だ。現代はグローバリゼーションによる様々な矛盾や格差によって民族・文化的対立やテロリズムが噴出しており、その背後に世界宗教であるユダヤ教、キリスト教、イスラーム教の宗教的対立こそが原因になっているという批判がある。 

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2010年6月 1日 (火)

ドイツから直行便で シリーズ9

相賀 昇

(あいが のぼる/日本キリスト教団田園都筑教会 牧師)

 前回の文中でも登場したマーゴット・ケースマン監督(51)であるが、この人が昨年10月、女性教職としては初のドイツ福音主義教会(EKD)評議会議長に就任した。まさにドイツ・プロテスタントのキリスト者2500万人を代表する要職に就いたということで、今回そのあたりの話題性をリポートしようかと思っていた矢先、去る2月24日(水)のことだが、彼女がハノーファーで記者会見し、同議長職とともにハノーファー領邦教会の監督職をも辞任したと聞いて本当に大きな衝撃を受けた。 

 

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